エレキギターを始めたころから、何もわからないので、NHKの「ギターを弾こう」 を見ていたのですが、エレキしか持ってなかったので、クラシックギターの練習 は、特にしたことはないのですが、弾いてみたくなった「禁じられた遊び」や 「アルハンブラ宮殿の思い出」等の有名な曲は、譜面本を買ったり全音のギター ピースという1曲だけの譜面を買ったりしていました。私が高校1年の時に、私と 同じ16歳の天才少年が、世界三主要ギター・コンクールにいずれも史上最年少記 録の16歳で1位となる。という記事を新聞で見ました。山下 和仁さんです。 どんな人なのだろうと、注目していたら山本直純さんの『オーケストラがやってき た』かなんかの番組で見ることが、出来ました。 随分前のことなので、記憶がはっきりしませんが、他にもいくつかの番組でもテレ ビで見たものですから、その当時の山下さんは、髪が長くギターを弾いている時 前髪で顔が隠れてしまって、時折、頭を振り上げた時に顔が見えるという、 ロックギタリストの様な感じでした。日本の荘村清志さんや、芳志戸幹夫さんなど みんなストレート少し長い髪をしていたので、同じ様なルックスに見えましたが、 この山下さんの演奏を見たときの衝撃は、凄いものがありました。 いままで見たクラシックの演奏は、どちらかというと、しっとり落ち着いて弾くという 感じでしたが、山下さんの演奏は感情が溢れ出し音楽の枠に収まらないような、 激しい情念の様な物を感じました。物凄いスピードで正確な演奏をするのですが、 そこにある種の狂気的な印象を受けました。この後アルバムではしばらくの間は、 「展覧会の絵」に始まり誰もギターでは弾いていない世界初演奏の曲が、多く それは、他の追従を許さない別次元の印象を受けました。 ロック以外のコンサートに殆ど行った事がありませんが、山下さんのコンサート には、3度ほど行きました。ロックのコンサートでも、この部分はどう弾いているの か?と、純粋に音楽を楽しめない処があるのですが、彼のコンサートはそんな気 にすらなりません。別次元の世界。彼以外、誰も彼を超えられない感じがしまし た。シンフォニーホールで見たのですが、本当に素晴らしい音でした。 ドボルザークの新世界「ラルゴ」この曲を会場で聴いたときの素晴らしさは、 忘れられません。1本のギターの演奏なのですが、オーケストラの様な演奏に 感じられました。同じギターで、それもたった一人の演奏とは、とても思えません でした。時には激しく、時には優しく演奏されるダイナミックスの幅の広さ。 殆ど神の領域という、印象を受けました。 ただ、最近の彼の印象は、若干落ち着いたレイドバックした感じを受けます。 昔の様な鬼気迫る感じが薄らいだ、より円熟味が、増した感じを受けます。 どちらかといえば、私は昔の方が好きですが。 エレキギターにしか、興味がないという人も、1度。彼の演奏を聴いてみて下さい。 新しい、音楽の出会いになるかもしれません。